防水の種類は大きく分けて5種類です。
歩行用防水・非歩行用防水・既存防水層の種類や劣化状況を確認して防水方法・工法を決定します。
防水工事の種類
屋上・陸屋根の主な防水方法は
ウレタン系・シート系・アスファルト系・FRP系・セメント系の5種類になります。
また1つの防水方法の中でもいくつかの工法がありそれぞれにメリットや保証対応年数などが変わってきます。
ここでは詳しい施工方法や防水工法を説明いたします。
工法名 | 適した施工箇所 | 価格 | (期待) 耐久年数 |
特徴 | |
ウレタン塗膜防水 | 密着工法 | ベランダ・庇 | 3,000円/㎡~ | 7年 | 塗装のように塗り伸ばして防水層を形成するので複雑な形状にも対応できる。硬化するとゴムのように伸びる性質がある。 |
補強布工法 | ベランダ・庇 | 3,500円/㎡~ | 10年 | ||
通気緩衝工法 | 屋上 | 4,500円/㎡~ | 13年 | ||
塩ビシート防水 | 密着工法 | 屋上・ベランダ | 3,500円/㎡~ | 15年 | 下地の種類を選ばないため改修工事に適している。プールや水槽などの防水にも用いられる事がある。 |
機械固定工法 | 屋上・ベランダ | 4,500円/㎡~ | 15年 | ||
アスファルト防水 | 熱工法 | 屋上 | 8,000円/㎡~ | 15年 | 通常2層以上のアスファルトシートで形成するため防水層に厚みがある。コンクリートで保護する工法もあり耐久年数が20年程ある。 |
トーチ工法 | 屋上・ピット | 4,500円/㎡~ | 13年 | ||
冷工法 | 屋上・ピット | 4,500円/㎡~ | 12年 | ||
密着工法 | ピット | 3,500円/㎡~ | 8年 | ||
FRP防水 | 密着工法 | ベランダ | 4,000円/㎡~ | 10年 | 硬化すると硬い防水層を形成するため歩行の多い戸建てのベランダでよく用いられる。 |
通気緩衝工法 | 屋上・ベランダ | 5,500円/㎡~ | 15年 | ||
ポリマーセメント系 塗膜防水 |
密着工法 | ベランダ・庇 | 2,500円/㎡~ | 5年 | セメントに防水材を混合させた防水材料。仮防水などにも用いられる事がある。 |
補強布工法 | ベランダ・庇 | 3,000円/㎡~ | 10年 | ||
通気緩衝工法 | 屋上 | 3,500円/㎡~ | 12年 |
ウレタン塗膜防水 | |
工法名 | 密着工法 |
補強布工法 | |
通気緩衝工法 | |
適した 施工箇所 |
ベランダ・庇 |
ベランダ・庇 | |
屋上 | |
価格 | 3,000円/㎡~ |
3,500円/㎡~ | |
4,500円/㎡~ | |
(期待) 耐久年数 |
7年 |
10年 | |
13年 | |
特徴 | 塗装のように塗り伸ばして防水層を形成するので複雑な形状にも対応できる。硬化するとゴムのように伸びる性質がある。 |
塩ビシート防水 | |
工法名 | 密着工法 |
機械固定工法 | |
適した 施工箇所 |
屋上・ベランダ |
屋上・ベランダ | |
価格 | 3,000円/㎡~ |
3,500円/㎡~ | |
(期待) 耐久年数 |
15年 |
15年 | |
特徴 | 下地の種類を選ばないため改修工事に適している。プールや水槽などの防水にも用いられる事がある。 |
アスファルト防水 | |
工法名 | トーチ工法 |
冷工法 | |
密着工法 | |
適した 施工箇所 |
屋上・ピット |
屋上・ピット | |
ピット | |
価格 | 4,500円/㎡~ |
4,500円/㎡~ | |
3,500円/㎡~ | |
(期待) 耐久年数 |
13年 |
12年 | |
8年 | |
特徴 | 通常2層以上のアスファルトシートで形成するため防水層に厚みがある。コンクリートで保護する工法もあり耐久年数が20年程ある。 |
FRP防水 | |
工法名 | 密着工法 |
通気緩衝工法 | |
適した 施工箇所 |
ベランダ |
屋上・ベランダ | |
価格 | 4,000円/㎡~ |
5,500円/㎡~ | |
(期待) 耐久年数 |
10年 |
15年 | |
特徴 | 硬化すると硬い防水層を形成するため歩行の多い戸建てのベランダでよく用いられる。 |
ポリマーセメント系 塗膜防水 |
|
工法名 | 密着工法 |
補強布工法 | |
通気緩衝工法 | |
適した 施工箇所 |
ベランダ・庇 |
ベランダ・庇 | |
屋上 | |
価格 | 2,500円/㎡~ |
3,000円/㎡~ | |
3,500円/㎡~ | |
(期待) 耐久年数 |
5年 |
10年 | |
12年 | |
特徴 | セメントに防水材を混合させた防水材料。仮防水などにも用いられる事がある。 |
面積100㎡以上・下地調整・ドレン・脱気筒・金物等の項目は含んでおりません。
ウレタン塗膜防⽔
主剤と硬化剤を攪拌し化学反応により硬化させ防水層を形成させる。粘り気があるが塗料に近いため複雑な形状にも対応できる。
通常①プライマー②ウレタン中塗り③ウレタン上塗り④トップコートの工程、補強布工法や通気緩衝工法では少し複雑な工程が発生する。
トップコートは通常5年ごとに塗り替えが必要だが、10年間メンテナンスフリーの商品も発売されている。
防水層の厚み確保の管理が必要で、使用缶数の確認や防水膜厚検査器による検査が必要。
施工中
完成
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ウレタン塗膜防水:密着工法
ウレタン防水材を下地にそのまま密着させる工法。簡易な工法の為、多くの建物で採用されている。下地の湿気の影響を受けやすく湿気が多い場合、 膨れが発生しやすい。主に5年保証。
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ウレタン塗膜防水:補強布工法
プライマーと中塗りの間にガラス繊維やポリエステルを用いたメッシュ状の布をサンドさせウレタン防水材の伸縮強度を向上させる工法。
メッシュを張付ける作業が難しく技量を要する。現在は補強布をサンドさせなくても密着工法のみで補強布工法同等の伸縮強度を発揮する材料が発売されている。この工法も下地に直接密着させている工法なので下地の湿気の影響を受けやすい。主に10年保証。 -
ウレタン塗膜防水:通気緩衝工法
プライマーと中塗りの間に下地の湿気を放出できる通気緩衝シートを敷設する工法。脱気筒を設ける事により、下地の湿気を外部に放出できる為、膨れが発生する事はほとんどない。通気緩衝シートにも防水性がありウレタン防水材も下地と直接触れない為、密着工法に比べかなり長持ちする。10年保証。
塩ビシート防⽔
塩化ビニル樹脂をシート状に成形した防水材料。シート相互の接合部に接着剤は使用せず、特殊な溶着技術を用い溶かして接合する為、剥がれる心配がない。
工場で仕上げ色までコーティングされた材料の為、現場でトップコートを塗る必要がなく、また防水層の厚みが均一である。
シートには透湿性があるため一部の工法(断熱工法)を除き脱気筒の設置が不要。 プールや水槽などにも採用されるほど防水性が高く高耐久が期待できる。
防水材の中でも一番古い歴史があり防水信用度は高い。アスファルト防水の上にコンクリートを打設できる工法などもあり様々な状況に対応できる。基本的に脱気筒を設ける事が多い。
施工中
完成
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塩ビシート防水:密着工法
下地との接着にボンドを用い固定する工法。シート相互の接合はボンドではなく上記同様、溶着接合する。新築のコンクリート下地や木下地に向いている。湿気による浮きは少ないが完全に膨れがでないと言う事もない。10年保証。
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塩ビシート防水:機械固定工法
下地との固定に先付けした塩ビ被覆鋼鈑やディスクにシートを溶着させ固定する工法。不陸の多い下地や湿気の多い下地に向いている為、改修工事では多く採用されている。鋼鈑やディスクはアンカー固定の為、振動ドリルによる騒音が発生する。10年~15年保証。
アスファルト防水
アスファルトを含有させたシート状や液体状の防水材。シートは工場生産品だがトップコートを塗る必要はある。
防水材の中でも一番古い歴史があり防水信用度は高い。アスファルト防水の上にコンクリートを打設できる工法などもあり様々な状況に対応できる。基本的に脱気筒を設ける事が多い。
施工中
完成
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アスファルト防水:熱工法
アスファルトを専用の釜で熱し溶かしたアスファルトの液体をアスファルトシートの裏面に流しシートを固定していく工法。溶解したアスファルトは冷えると固まり下地と接着する。この工程を2~4工程行う。熱工法の上にはコンクリートを打設する場合が多い。専用の釜はクレーンで屋上に上げないといけなかったり、工程が多い事から費用は高額になる。臭気問題や担い手不足により減少傾向にある。10年保証。
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アスファルト防水:トーチ工法
アスファルトシートの裏面に溶解され冷えたアスファルトが含有しているシートをトーチバーナーにより炙り溶かして下地と接着していく工法。通常この工程を2層行い、トップコートを塗布する。アスファルト防水ではこの工法が現在では主流。10年保証。
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アスファルト防水:冷工法
アスファルトシートの裏面の粘着層により下地に接着させる工法。通常2層シートを張付けトップコートを塗布する。熱工法やトーチ工法と違いほぼ火を使用しないので安全に作業ができる。この工法も近年では多く採用されている。10年保証。
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アスファルト防水:密着工法
アスファルトを常温で使用できるようにした防水材で塗布するだけで防水層となる。ゴムアスファルト防水とも呼ぶ。アスファルトシートでは施工しにくい複雑な形状の場所や、浴室防水に用いられる。5~10年保証。
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アスファルト防水:シングル葺き
アスファルトシート1層を冷工法により敷設し、その上からシングルと呼ばれるアスファルト化粧材を張付ける工法。陸屋根ではなく勾配屋根の防水材として採用される。仕上げ材にも防水性能はあるが基本的に1層目のアスファルトシートが防水機能を果たしている。近年大型台風などにより風散災害が多く発生しているが施工方法の改善により固定強度は上がっている。見た目も綺麗なので団地などで多く採用されている。10年保証。
FRP防水
ファイバー(繊維)レインフォースド(強化)プラスチック(合成樹脂)の略称でプラスチックにガラス繊維などを含浸させ強化させた防水材料。
1ply(繊維含浸1回)や2ply(繊維含浸2回)で費用が異なる。もちろん2plyの方が強度が高い。車のバンパーや小型船などにも用いられる材料で、
表面強度が強靭な上に弾性にも富んだ材料で歩行する屋根に向いている為、戸建てのベランダ・バルコニーでの採用が多い。
樹脂は塗膜系だが硬化剤の量により硬化時間を調整できる為、早く固まらせる事ができる。仕上げにはトップコートを用いる
施工中
完成
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FRP防水:密着工法
FRP防水材をそのまま下地に密着させる工法。木下地に適しているが5年程度経過すると下地から浮いてきたりする事がある。硬化速度を調整させる事が出来る為、戸建てのベランダなどでは1日で完了させる事が可能。5~10年保証。
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FRP防水:通気緩衝工法
ウレタン塗膜防水通気緩衝工法と同様プライマー塗布後、通気緩衝シートを敷設し脱気筒によって下地の湿気を抜く工法。強度が高い上に下地の影響を受けにくい為、高耐久が期待できるがコストは高い。10年保証。
ポリマーセメント系塗膜防水
セメントと防水樹脂を攪拌して硬化させた防水材の名称。露出防水に使われるが比較的安価の為、仮防水材として使用される事もある。
セメントと防水樹脂の液体のみなので防水層の膜厚はあまり出ない為、塗り重ねが重要となる。工程としてはウレタン塗膜防水とほぼ同じでトップコート仕上げになる。
5つの防水方法の中で唯一水性防水材であり、環境と人体に優しい。
施工中
完成
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ポリマーセメント系塗膜防水:密着工法
下地に直接密着させる工法。簡単な方法ではあるが湿気により膨れが発生しやすい。5年保証。
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ポリマーセメント系塗膜防水:補強布工法
ウレタン塗膜防水密着補強布工法と同じ工程の工法。この工法では上からコンクリートを打設したり、タイルを張れたりする。5~10年保証。
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ポリマーセメント系塗膜防水:通気緩衝工法
こちらもウレタン塗膜防水通気緩衝工法と同じ工程の工法。ウレタンより安く通気緩衝工法を採用できる。10年保証。
防水材料と工法の選び方
それは防水材料の特徴と工法の特徴を理解し既存の下地に最善な方法を当てはめます。
例えば下地の状況が悪いので塩ビシート防水機械固定工法を選択した場合でも機械基礎などの納まりが難しい箇所ではウレタン塗膜防水密着工法を採用し複合工法とするなど、柔軟な対応と考察力が求められます。
10年保証だから何とか10年もてばいいと言う考えではなく、保証期間を過ぎたその先の安心も見据えた方法を考える事を信条としています。
また良い材料だけでなく良い技術も大切。防水工事も料理人のように良い腕を持った職人はその材料を2倍にも3倍にも良いモノに変える事ができると考えます。
そのように私達は考え常に向上心を持ち、毎日の防水工事がより良くなるように努力しています。